研修は人材育成に欠かせませんが、研修をただ受けさせただけでは効果が出ないことも多いですよね。
人材育成という観点では、研修で学んだことを仕事や業務に活かせるかどうかが重要です。
しかし、実際には研修で学んだことが仕事に転移する割合は平均で15%程度と言われています。
つまり、研修をただ受けさせただけでは、に投資した時間や費用の大部分が無駄になってしまっているのです。
では、どうすれば研修の効果を高めることができるのでしょうか。その答えが研修転移です。
研修転移を促進することで、研修の効果を最大化することができます。
この記事では、研修転移とは何か、なぜ研修転移が注目されるのか、通常の研修の問題点とその解決策、そしてDX人材育成に研修転移を活用する方法について解説します。
研修転移とは

研修転移とは
研修転移とは、研修で学んだことを仕事に活かし、成果を得ることです。
研修転移は、研修の効果を測る指標の一つであり、研修転移が高いほど、研修の効果が高いと言えます。
フィリップスのROIモデル
この研修転移を図るための指標として、ROIを見据えた研修の効果を図るフィリップスのROIモデルというものがあります。
これは研修の効果を測定する指標の一つで、経営指標であるROIまで見据えた画期的な研修効果の測定方法です。
詳しくは下記の記事で解説しているので、ぜひ参考にしてください。
[参考リンク-人材育成の効果を測るためのフィリップスのROIモデルとは!?市民開発との親和性についても解説します!]
研修転移が注目される背景
研修転移が注目される背景には、DX(デジタルトランスフォーメーション)の加速があります。
DXによって、業界や業務の様相が大きく変わり、新しいスキルや知識が求められるようになりました。
DXに対応するためには、研修だけでなく、研修で学んだことを仕事に活かすことが不可欠です。
研修転移を高めることで、DX人材育成を効果的に行うことができるのです。
[参考リンク-経済産業省が警鐘を鳴らす「2025年の崖」とは!?DXとの関連や対策方法までわかりやすく解説します!]
通常の研修の問題点

通常の研修では、研修転移を促進する対策が十分に行われていないことが多いです。
その結果、研修で学んだことが仕事に活かされないことが多くなります。通常の研修には、以下の3つの問題点があります。
記憶の壁
記憶の壁とは、研修で学んだことを忘れてしまうことです。
研修で学んだことを記憶するには、繰り返し復習したり、実践することが必要です。
しかし、通常の研修では、研修後に復習や実践をする機会が少ないことが多く、また、研修の内容が多すぎると、記憶に残りにくくなります。
記憶の壁を乗り越えるには、研修の内容を適切に絞り、研修後に定期的に復習・実践することが大切です。
行動の壁
行動の壁とは、研修で学んだことを仕事で実践できないことです。
研修で学んだことを実践するには、研修の内容と仕事の内容が関連していることが必要です。
しかし、通常の研修では、研修の内容が仕事の内容と乖離していることが多いです。
また、研修の内容が理論的すぎると、実践に落とし込みにくくなります。
実践の壁を乗り越えるには、研修の内容を仕事の内容に合わせ、実践的な研修を行うことが重要です。
動機の壁
動機の壁とは、受講者が研修を受ける動機づけができないことです。
研修を受ける動機づけをしっかりと行うためには、研修の目的や背景に対して腹落ちさせることが必要です。
しかし、通常の研修では動機づけがしっかりと行われていないことが多いです。
動機の壁を乗り越えるには、研修をする目的や意味を理解してもらうことが必要です。
評価の壁
評価の壁とは、研修転移で見るべき「成果」の評価をするための指標が立てられないことを指します。
研修で成果が出たことを評価するには、なにをもって成果とするのか、評価項目が定量的・定性的に定義されている必要があります。
評価の壁を乗り越えるには、定量的なKPIや、定性的なKGIをしっかりと目的として設定しながら研修を設計することが必要です。
DX人材育成に研修転移を活用する

DX人材に必要なスキルや知識を身につけるためには、研修だけでなく、研修で学んだことを実務やプロジェクトに活かすことが不可欠であり、プロジェクトに生かすことで成果を生み、研修転移を高めることができます。
この章では研修転移を高めるための3つの観点を解説します
研修の全体像をデザインする
1つ目の要素は研修の全体像をデザインすることです。
記憶の壁と行動の壁を乗り越えるためには、研修の全体像をデザインし、どのように復習や実践をさせ、実務にどのように生かすことができるかの導線の設計を行う必要があります。
特に、DXという文脈では、得たスキルや知識を活用して、それを変革に結びつけることが非樹に重要です。
これにはラーニングエクスペリエンスデザインという考えを適用すると良いでしょう。
ラーニングエクスペリエンスデザインについては下記の記事を参照してください。
[参考リンク-ラーニングエクスペリエンスデザインとは!?研修効果を最大化するための理論をDXの人材育成への活用も併せて解説!]
研修の意義と理由を伝える
2つ目の要素は研修の意義と理由を伝えることです。
動機の壁を乗り越えるには、、研修で学ぶことが自分の仕事やキャリアにどのように役立つのか、どのような成果が期待されるのかを明確に伝えることが必要です。
また、その研修の目的が、会社として取り組むべきことであることを伝えるために、できるならばトップマネジメントからのコミットメントを示すと良いでしょう。
人材育成のためのKPIを設定する
3つ目の要素は人材育成のためのKPIを設定することです。
このKPIは研修転移を測る目的であれば、成果と結びつける必要があります。
たとえば、市民開発のための人材育成であれば、市民開発によって作られたアプリで、年間どれだけの時間を短縮できたか、などを指標にするととてもわかりやすいでしょう。
[参考リンク-人材育成の効果を測るためのフィリップスのROIモデルとは!?市民開発との親和性についても解説します!]
まとめ
この記事は、研修転移の概要から、DX人材育成への活用の方法まで解説しました。
研修転移を高め、DXや市民開発を成功に導いてください!
あなたのDX推進に幸あれ!