仕事の効率化を図りたいと考えている方、またはチームの生産性を向上させたいとお考えの方は多いのではないでしょうか。
しかし、業務の流れが複雑で、どこから手をつけていいのかわからないという悩みを抱えている方もいるでしょう。
この記事では、そんな問題を解決するための一つの方法として、ワークフロー図について解説します。
ワークフロー図とはなにか、そしてどのように作っていけばいいのかまで徹底的に解説しますので、ぜひ最後までお読みください。
ワークフロー図とは!?

そもそもワークフローとは
ワークフローとは、業務を効率的に進めるために必要な作業の流れを体系的に表したものです。
ここでいう「ワークフロー」とは、単にタスクの一覧を示すのではなく、業務を構成する一連のプロセスや、それに伴う情報の流れを包括的に捉えたものを指します。
具体的には、社内でのデータや文書のやり取り、それらを扱う人々、使用される物品、必要とされる時間、そしてそれが行われる場所など、業務を遂行する上で関わってくるすべての要素が含まれます。
ワークフロー図とは
ワークフロー図は、業務の流れを図式化して表したもので、プロセスの各ステップを視覚的に捉えることができるものです。
ワークフロー図を用いることで、業務の各ステップを明確にし、それぞれのステップ間での情報の移動や、必要なアクションを視覚的に追跡することが可能になります。
これにより、業務の効率化はもちろん、プロセスの標準化や、さらなる改善点の発見に繋がるのです。
承認フローとワークフローの違い
承認フローは、文書や決定が正式な承認を得るためのプロセスを指し、ワークフローの中の一部分です。
一方、ワークフローはその名の通り、業務を成し遂げるための「流れ」全体を指します。
これには、承認だけでなく、実際の作業の実行や、それに伴うコミュニケーションのプロセスも含まれています。
承認フローが特定の決定点に焦点を当てるのに対し、ワークフローは業務の始まりから終わりまでの全体を捉えている点が差分となります。
ワークフロー図の目的
ワークフロー図を作成する主な目的は、業務プロセスを明確にし、業務の効率化や改善の機会を見つけ出すことです。
ワークフロー図は、業務の流れを可視化することで、各ステップで何が行われているのか、どのような問題が存在するのかを明確にし、業務の無駄を削減し、生産性を向上させるための重要なツールとなるのです。
ワークフロー図の種類

JIS(日本工業規格)X0121 情報処理用流れ図
JIS X0121は、情報処理における作業の流れを表すための日本工業規格です。
この規格に従って作成されたワークフロー図は、業務の流れを標準化し、共通の理解を促進するために有効です。
特に、異なる部署や組織間でのコミュニケーションを円滑にするために役立ちます。
また、教育やトレーニングの資料としても使用され、新しいスタッフが業務を学ぶ際のガイドラインとなり得ます。
UMLアクティビティ図
UMLアクティビティ図は、ユーザーの行動やシステムの動作を表現するために使用される図式で、特にソフトウェア開発の分野でよく利用されます。
複雑な業務プロセスや、システム間の相互作用を視覚的に表現するのに適しており、開発者やステークホルダー間での共通理解を築くのに役立ちます。
BPMN ビジネスプロセスモデリング表記法
BPMNは、ビジネスプロセスをモデル化し、可視化するための国際標準の表記法です。
この方法を用いることで、業務プロセスをより詳細に、かつ統一された形式で表現することが可能になります。
BPMNは、業務の最適化や自動化を図る際に特に有効であり、ビジネスアナリストやシステムエンジニアに広く採用されています。
ワークフロー図を作成するメリット

業務理解が深まる
ワークフロー図を作成するメリット1つ目は業務理解が深まることです。
ワークフロー図を作成することで、業務の全体像を把握し、各ステップの目的や重要性を深く理解することができます。
これにより、業務の効率化だけでなく、チームメンバーのモチベーション向上にも繋がります。
役割分担が明確になる
ワークフロー図を作成するメリット2つ目は役割分担が明確になることです。
ワークフロー図を用いることで、チームメンバーの役割や責任が明確になり、誰が何をすべきかがはっきりとします。
これは、業務の透明性を高め、チームワークを促進する上で非常に重要です。
業務の改善すべきポイントが見つけやすくなる
ワークフロー図を作成するメリット3つ目は業務の改善すべきポイントが見つけやすくなることです。
ワークフロー図を活用することで、業務のボトルネックや無駄な工程を特定しやすくなります。
これにより、業務改善のための具体的なアクションプランを立てることが容易になります。
デジタライゼーションやDXのきっかけになる
ワークフロー図を作成するメリット3つ目はデジタライゼーションやDXのきっかけになることです。
デジタル化やデジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを進める際、ワークフロー図はその基盤となります。
業務のデジタル化により、時間やコストの削減、さらには新たなビジネスチャンスの創出に繋がる可能性があります。
ワークフロー図の作成の流れ

目的をもってワークフロー図を作成する対象業務を選定する
ワークフロー図の作成の1歩目は、まず作成するの目的を明確にし、それに基づいて対象となる業務を選定します。
例えば、”業務の可視化のため”や、”デジタイゼーションのため”など様々な目的が考えられます。
業務の可視化であれば全般的な業務を対象として行う必要がありますが、デジタイゼーションのためであれば、できるだけ投資対効果が高くなるような業務を選ぶ必要があります。
リソースが限られている中で、最大の効果を得るために、まずワークフロー図を作成すべき業務を特定することが重要なのです。
業務タスクの抽出・洗出しを行う
ワークフロー図作成の2歩目は、業務を構成するタスクを抽出し、それらを洗い出しすることです。
ワークフロー図のそれぞれのパーツとなる各業務やタスクを抽出し、洗い出します。
この洗い出しを行う際には、”誰の”業務なのかをしっかりと切り分け、役割分担を明確にする必要があります。
また、業務アプリケーションやエクセルなど、特定のツールを使った作業の場合は、それがわかるように記載をすることで、自動化やリプレイスを検討しやすくなります。
業務タスクを時系列で整理する
ワークフロー図作成の3歩目は業務タスクを時系列で整理することです。
抽出し、役割ごとに整理したタスクを時系列に沿って並び替え、業務の流れを作ります。
これにより、各タスク間の依存関係や、必要なリソースが明確になります。
また、この整理をする際にメモ書きなどで、どの工程で通常どの程度の時間が掛かっているかを記載しておくことで、業務改善やデジタライゼーションを行った際のインパクトを計算しやすくなります。
図式化して整理する
ワークフロー図作成の4歩目は図式かして整理することです。
最後に、整理した業務タスクを記号化し、矢印などを使って繋ぎ、ワークフロー図を完成させます。
ここで重要なのが、目的に合わせた図式化をすることです。
たとえば、業務の可視化であれば、どんな人でもわかるように、記号の種類を最小限にすることが求められますが、デジタライゼーションを目的とした場合は、どんなツールを使うのか、帳票出力が必要なのか等、詳細にワークフローが見えることが重要となります。
まとめ
ワークフロー図は、業務の効率化と生産性向上のための強力なツールです。
この記事を通じて、ワークフロー図の基本から作成方法、活用のメリットまでを理解し、実際の業務に応用していただければ幸いです。
あなたのDX推進に幸あれ!