DX人材育成において、ブレンディットラーニングという概念が非常に注目されています。ブレンディットラーニングはDX人材育成にどのように活用できるのでしょうか。また、そのメリットとデメリットは何でしょうか。
この記事では、ブレンディットラーニングの概要や背景、ブレンディットラーニングのメリットとデメリット、そしてDX人材育成への活用とそのポイントについて解説します。
この記事を読むことで、ブレンディットラーニングの基礎知識やDX人材育成への応用方法を理解できるので、ぜひ最後までお読みください。
ブレンディットラーニングとは
この章では、ブレンディットラーニングの概要や、注目されている背景について解説します。
ブレンディットラーニングの概要
ブレンディットラーニングとは、様々な学びの方法を使って学習全体を設計することを指します。
例えば、オンラインとオフラインの学習の組み合わせや、インプットとアウトプットを組み合わせたりすることが挙げられます。
このように様々な学び方を効果的にブレンドし、学び全体をデザインすることで、研修の効果を高めることができます。
ブレンディットラーニングが注目される背景
ブレンディットラーニングが注目される背景には、以下のような要因があります。
デジタル技術の発展
インターネットやスマートフォンなどの技術の発展により、オンラインでの学習が容易になりました。
オンライン学習には、時間や場所の制約が少なく、コストも低いというメリットがあります。
しかし、オンライン学習だけでは、受講者のモチベーションや理解度の確認が難しいというデメリットもあります。
そこで、オフライン学習と組み合わせることで、バランスの取れた学習を実現する、というような考えでブレンディットラーニングを活用します。
DX人材育成
DXを推進するには、デジタル技術に精通した人材が不可欠です。
また、デジタル技術は日々進化しており、常に最新の知識やスキルを習得する必要があります。
ブレンディットラーニングでは、オンラインでの学習でデジタル技術に触れることができるとともに、オフラインでの学習でデジタル技術を活用する方法や思考を学ぶことができるので、デジタルを活用する人材の育成にはもってこいの概念なのです。
[参考リンク-IPAの提唱するデジタルスキル標準とは！？概要からITパスポートとの違いまで徹底解説します！]
ブレンドする学習の方法
ブレンディットラーニングで設計すべき複数の学びは以下のようなものがあります。
Eラーニング
1つ目はEラーニングです。
Eラーニングとは、インターネットを活用した学習のことで、一般的には、クラウド上にある学習環境上で動画コンテンツを用いて学習することを指します。
メリットとしては、時間と場所を選ばず学習できることですが、デメリットとしては学習者の意欲によって学習の効率や効果が落ちてしまうことが挙げられます。
セミナー
2つ目はセミナーです。
セミナーはリアルタイムで講師が話していることをインプットすることを指します。（ここでは、セミナーのアーカイブ動画などはEラーニングとして考えます）
メリットとしては、リアルタイムで半強制的にインプットをさせることができることで、デメリットとしては、時間に制限ができてしまうことが挙げられます。
セミナーはオフラインでも、オンラインでも開催することができるので、状況に合わせて方法を選択することが重要です。
ワークショップ
3つ目はワークショップです。
ワークショップはリアルタイムで参加者が実際に手を動かしたり、アウトプットをすることを指します。
メリットとしては、参加者自信が考え、動くことで、学習の定着が図れることと、アウトプットが生まれることで、デメリットは参加者に対して事前のインプットが必要になることが多いことと、時間の制限が発生してしまうことです。
ワークショップもオンラインでもオフラインでも開催することができるので、状況に合わせて開催方法を検討することが重要です。
OJT
4つ目はOJTです。
OJTはOn the Job Trainingの略で、じつ業務の中で学ぶことを指します。
メリットとしては、じつ業務に紐づけながら学ぶことができるので、定着が図れることと、実際に業務上で学習したメリットを教授できることで、デメリットは講師役の質や、拘束時間の問題、研修方法の構築が難しいことがあげられます。
ブレンディットラーニングのメリットとデメリット
この章ではブレンディットラーニングについてのメリットとデメリットについて解説していきます。
ブレンディットラーニングのメリット
ブレンディットラーニングのメリットは、主に以下の2点です。
研修効果の最大化
ブレンディットラーニングでは、様々な学習の方法を効果的に組み合わせることで、研修効果を最大化することができます。
Eラーニングでは、自分のペースで学習することができるので、基礎知識や理論を身につけることができます。
セミナーやワークショップでの学習では、講師や仲間との対話や実践を通して、学んだ内容を深めたり、応用したりすることができます。
オンラインとオフラインの学習を繰り返すことで、学習の定着や転移を促すことができるのです。
受講者のモチベーションUP
ブレンディットラーニングでは、受講者のモチベーションを高めることができます。
Eラーニングでは、自分の学習進度や成果を確認することができるので、自己効力感や達成感を感じることができます。
セミナーやワークショップでの学習では、講師や仲間とのコミュニケーションやフィードバックを受けることができるので、学習の意義や目的を認識することができます。
また、オンラインとオフラインの学習をバランスよく行うことで、学習の飽きや疲れを防ぐことができます。
ブレンディットラーニングのデメリット
ブレンディットラーニングのデメリットは、主に以下の2点です。
構築の難しさ
ブレンディットラーニングを構築するには、様々な要素を考慮して、適切な学習設計を行う必要があります。
複数の学習方法を設計し、提供方法やスケジュールを決めることは、時間やコスト、スキルなどの面で難易度が高くなりがちです。
また、受講者の特徴やニーズに応じて、カスタマイズや改善を行うことも必要のため、ブレンディットラーニングを構築するには、専門的な知識や経験が必要です。
研修の時間の創出の難しさ
ブレンディットラーニングでは、オンラインとオフラインの学習を両立させる必要があります。
しかし、受講者は、仕事や家庭などの他の責任や義務に追われている場合が多く、研修に十分な時間を割くことができない場合があります。
また、Eラーニングでは、自律的に学習することが求められますが、受講者は、自分の学習計画や管理を行うことができない場合があります。
ブレンディットラーニングを実行する際には、受講者に研修の時間を創出することや、自律的に学習することをサポートすることが必要です。
ブレンディットラーニングとDX人材育成
ブレンディットラーニングは、DX人材育成において、有効な教育方法です。
この章では、DX人材育成において、なぜブレンディットラーニングが必要なのか、そして、どのようにブレンディットラーニングを活用するべきかについて解説します。
DX人材育成においてなぜブレンディットラーニングが必要か
DX人材育成において、ブレンディットラーニングが必要な理由は、以下の3点です。
デジタル技術の変化に対応するため
DX人材は、デジタル技術に精通し、それを活用して、組織や社会の変革を促すことができる人材です。
しかし、デジタル技術は日々進化しており、常に最新の知識やスキルを習得する必要があります。
ブレンディットラーニングでは、Eラーニングやウェビナーなどでデジタル技術の基礎やトレンドを学び、ワークショップなどのオフライン学習でデジタル技術の応用や実践を学ぶことができるので、効率的に日々進化するデジタル技術を学習することができます。
マインドセットを養うため
DX人材は、デジタル技術だけでなく、マインドセットも必要です。
マインドセットとは、デジタル技術に対する好奇心や積極性、柔軟性、協働性や、デザイン思考、ロジカルシンキングなど考え方や姿勢のことです。
ブレンディットラーニングでは、Eラーニングやウェビナーなどでマインドセットの理論や事例を学び、ワークショップなどのオフライン学習で実践し、マインドセットを定着させることができます。
コミュニケーションやコラボレーションを促進するため
DXは、コミュニケーションやコラボレーションを促進することが重要です。
ブレンディットラーニングでは、Eラーニングで学習環境上でコミュニケーションをとったり、ワークショップやOJTなどのオフライン学習でそれぞれの強みをコラボレーションすることができます。
DX人材育成におけるブレンディットラーニングで抑えるべきポイント
ブレンディットラーニングをDX人材育成に活用するには、以下の4つのポイントを抑える必要があります。
研修の全体像をアウトラインで示す
ブレンディットラーニングを用いることで研修の効果を高めることができますが、そのためには、受講者に研修の全体像をアウトラインで示すことが必要です。
研修の全体像とは、研修の目的や目標、オンラインとオフラインの学習の内容や順序、評価方法や基準などです。
研修の全体像をアウトラインで示すことで、受講者は、研修の流れや意味を理解し、自分の学習計画や管理を行うことができます。
[参考リンク-ラーニングエクスペリエンスデザインとは！？研修効果を最大化するための理論をDXの人材育成への活用も併せて解説！]
受講者へ研修の意義を伝える
ブレンディットラーニングを用いて研修のアウトラインを示すだけでなく、受講者に研修の意義を伝えることも重要です。
研修の意義とは、研修を受けることで、どのような知識やスキルを習得できるのか、それが自分や組織にどのようなメリットをもたらすのか、などを指します。
研修の意義を伝えることで、受講者は、研修の価値や目的を認識し、自分の学習に対する動機や関心を高めることができます。
[参考リンク-「腹落ち感」を形成するセンスメイキング理論とは！？組織でDXを推進していくための文化の醸成に活用しよう！]
スケジュールを詰めすぎない
ブレンディットラーニングでは、オンラインとオフラインの学習を両立させる必要があり、そのためには、スケジュールを詰めすぎないことが必要です。
スケジュールを詰めすぎると、受講者は、学習に十分な時間を割くことができなかったり、学習の質や量にバラつきが生じたりする可能性があります。
特にOJTやワークショップなどを行う際には、実業務の状態も勘案する必要があり、それは受講者だけでなく、受講者の上司や、受講者の組織に対しての安心にも繋がります。
宿題を出しすぎない
ブレンディットラーニングでは、オンラインとオフラインの学習を繰り返すことで、学習の定着や転移を促すことができます。
しかし、そのためには、宿題を出しすぎないことも必要です。
宿題を出しすぎると、受講者は、学習に対する負担やストレスを感じたり、学習のモチベーションや興味を失ったりする可能性があります。
宿題を出しすぎないことで、受講者は、学習に対する楽しさや達成感を適度に感じることができます。
まとめ
この記事では、ブレンディットラーニングに関して解説しました。
ブレンディットラーニングは効果的ではありつつも、抑えるべきポイントも多く、いきなり一から設計するのはリソースも必要です。
市民開発を目指したDX人材育成についてブレンディットラーニングを適用した研修についてのお役立ち資料を下記リンクからダウンロードできますので、ぜひ参考にしてみてください。
あなたのDX推進に幸あれ！
